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「そして、もうひとつ。
当たり前かもしれないが君の男色趣味についても伏せてある。
どうかこの先も、その趣味は姉に露見しないように気をつけてもらいたい」
多少の言い難さを感じながら、それでも伝えなければとそう告げると、彼は心底驚いたようにこちらを見た。
そして勢いよく立ち上がってズンズンとこちらに歩み寄り、強く手首をつかんだ。
「これだけは言っておく。俺に男色趣味などない!
抱いたのはお前だからだ!
今まで男を抱いたことも、この先、他の男を抱く気もない!」
睨むようにこちらを見据えて、強い口調でそう言った彼の言葉に、今度はこちらが驚いた。
彼が自分を欲したのは、そうした趣味があるゆえのことかと思っていた。
上流階級には隠れ潜みながら男色趣味を持つ者が多いと耳にしたことがあった為、それで自分を欲しているのだろうと思っていた。
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