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こうしたすべての激情をぶつけるように、睦月を抱く。
彼は自分の行為に応えもしなければ、拒否もしない。
ただ、されるがままに受け入れる。
それでも、時折乱れる息に、よじらせる身体に、歪ませる貌に、例えようもない悦びと興奮を感じた。
どんな女を抱いても、得られなかった甘美なもの。
そして、その肌に触れながら、他の何者よりも美しいと心の底から思う。
女の柔肌がまるで下品なものに感じられてしまうほどに。
信じられないな。
少年の美しさに、我を忘れるほどのめり込んでいくなんて、まるで『ヴェニスに死す』だ。
トーマス・マンの実体験を基にしたといわれる、その作品を読んだ時は、美少年に心を奪われるなんて、自分には考えられないことと嘲笑(わら)ったというのに―――
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