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男たちは手慣れているのか、あっという間に押さえ込まれ東条は身動きがとれなくなってしまった。
「おやおや、こんなことをせずとも私は抵抗などしないというのに・・・見かけによらず怖がりなのですか?」
「はっ!そのへらず口を叩けるのも今だけだ。賢いお前のことだ。今回のことでどれだけうちの組に損害を与えたかわかっているだろう?そして、それだけのことをしでかしたお前の“責任の取り方”もなぁ」
と、隣の男からドスを受け取った大男はすっと鞘から引き抜き東条に見せつけるようにゆらゆらと揺らし、東条の首にぴたりと刃をつけた。
「ふふふ、相変わらず悪趣味な性格をしていますねえ。殺したいのならばそのような“パフォーマンス“などせずにさっさと突き刺してしまえばよいものを。」
「はっ!首に光物突きつけられて笑顔を全く絶やさねぇやつがなにいってやがる。だがまぁ、悪趣味であることは否定しねぇよ。今でもお前の絶望に歪む顔を見たくてしかたねぇ。」
だからよ、と大男は言葉を続ける。
「お前の妹さん、入院してるんだったよな?確か医療費を稼ぐためにこんな仕事してるんだろ?」
一言言葉を発する度に大男の口角が醜く歪んで行く。
「その妹さんなぁ・・・
殺しちまったよ。」
その言葉と共に大男は右手にもったドスを振り下ろした。
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