第1章 蝉がなく頃に。

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石木はチャイムが鳴っても一向に顔をあげようとしなかった。 ったく・・・あいつはいつまで寝てるんだ。 俺の口からため息が出る。 ほんっとに石木はアホだな。 俺は呆れ顔で石木の席に近寄り声をかけた。 「石木ぃ・・・起きろよ」 だが石木に反応はない。 「石木っ起きろって!おい、石木!」 石木が起きる気配は一切感じられなかった。 なぜ・・・だ? 授業が始まる前まではあんなにクラスを楽しませていたのに、石木になにが・・・? 「・・・どうした」 石木は目をこすりながら顔を上げた。 いきなりのことで驚きを隠せなかった。 「いや、お前・・・起きなかったから・・・」 「は?何言ってんのお前。俺はずっと起きてたぞ」 ・・・話の内容が理解できない。 石木は何を言っているんだ? 頭の中がごっちゃまぜになって物事が考えられなくなった。
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