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都内にある喫茶店の『工具箱』。そこのカウンター席に、グレーのスーツを着込んだ二十代ほどの青年が座っていた。
普通ならばサラリーマンはデスクワークの真っ最中だが、サラリーマンではない彼には関係が無い。
青年は注文したコーヒーを啜りながら、ノートパソコンの画面を眺めていた。
「……君も、駄目だったのか……」
悲しそうに呟く青年。
彼は万能家の中で一番の人格者と謳われる男である。正確には、彼は舞い込む依頼を解決するタイプではなく、自ら困っている人の元を訪れ、問題を解決するタイプだ。
「僕が与えるのは、選択だ」
仲間には、それを口癖のようによく言っていた。
よって、色無紙彦という青年は万能家というだけあって、相当頭が良いが、奇人でもあるので友人はあまりいない。
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