究極の二択(デッドオアライブ)

2/6
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
 都内にある喫茶店の『工具箱』。そこのカウンター席に、グレーのスーツを着込んだ二十代ほどの青年が座っていた。  普通ならばサラリーマンはデスクワークの真っ最中だが、サラリーマンではない彼には関係が無い。  青年は注文したコーヒーを啜りながら、ノートパソコンの画面を眺めていた。  「……君も、駄目だったのか……」  悲しそうに呟く青年。  彼は万能家の中で一番の人格者と謳われる男である。正確には、彼は舞い込む依頼を解決するタイプではなく、自ら困っている人の元を訪れ、問題を解決するタイプだ。  「僕が与えるのは、選択だ」  仲間には、それを口癖のようによく言っていた。  よって、色無紙彦という青年は万能家というだけあって、相当頭が良いが、奇人でもあるので友人はあまりいない。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!