第五話 月光 ―琢磨―

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車はやがて東雲邸に到着し、睦月と共に車を降りて広い庭園を散歩するように歩いた。 月明かりの下、咲き誇る花々美しく睦月は少し嬉しそうに目を細める。 「ここの庭は昼と夜では、別の顔を持つ。昼は健全に美しいが、夜はそれは幻想的になるな」 そう漏らした彼に、 まるでお前のようだな、と心で返した。 何も返答せずに睦月を見ていると、睦月はクスリと笑ってこちらを見た。 「まだ、怒っているのか? 君は本当に訳が分からない暴君だな」 少し楽しげにそう告げる。 その姿に愛らしさを感じながらも、今も胸に残る面白くなさに顔を背けた。 「―――睦月」 そう声を上げると、何も答えずにこちらを見た。 「知っての通り俺はイライラしてるんだ。なんとかしろよ」 お前は俺のものなんだろう? そう告げて、彼を見据えた。 その言葉に睦月はキョトンと目を開いたあと、 「なるほど、僕に君の機嫌を取れと」 と言ってクツリと笑った。 何が可笑しい! と声を上げそうになった時、 「分かったよ、それじゃあ目を閉じてくれないか」 と妖しく微笑んだ。 その言葉にバクンと鼓動が跳ね上がる。
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