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そんな睦月は少しの間、沈黙したあと、ゆっくりこちらを見た。
「琢磨、君にお願いがある」
言い難そうに、少しためらいがちにそう告げた睦月の姿に、心臓が尋常じゃないほどに音を立てた。
「お願い?」
「―――遠くからでもいい、佐和の姿を見に行きたい」
そう告げた後、目を潤ませてこちらを見た。
「一人では怖いんだ。
付き合ってもらえないか?」
頬を紅潮させながら、綺麗な目を潤ませながら、そう告げた睦月の姿に、胸を打ちぬかれる。
睦月にそんな表情をさせることができる佐和の存在に激しい嫉妬を感じながらも、自分に哀願する姿が、ただ愛しくてならない。
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