第五話 月光 ―琢磨―

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バクバクと鼓動が打ち鳴らす中、言われた通り目を閉じた。 「それじゃあ、口を開けて」 続いてそう言った睦月に、更に鼓動が強くなる。 尋常じゃないほどに。 一体自分に何をしようというのか。 喉までも脈打つ気がした。 そっとこちらの頬に触れる睦月の手。 鼓動が激しくなる。 スッと口の中に睦月の細い指が入ったかと思うと、口内に甘さが広がった。 そう、口の中を転がる球体。 「―――飴玉?」 驚いて目を開けると、 「君は少し疲れているんだろう?甘い物を摂るとイライラも治まるだろう」 と屈託なく微笑んだ。 月明かりの下、無邪気な笑顔を見せる睦月の姿に目眩がした。 「レモンオイルの飴だ、美味しいだろう?」 そう言って覗き込む。 何も言えずに、ただ頷くと、 「良かった、機嫌も直ったようだ。まったく君は時に子供のように愛らしいな」 そう言って満足そうに微笑んだ。
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