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バクバクと鼓動が打ち鳴らす中、言われた通り目を閉じた。
「それじゃあ、口を開けて」
続いてそう言った睦月に、更に鼓動が強くなる。
尋常じゃないほどに。
一体自分に何をしようというのか。
喉までも脈打つ気がした。
そっとこちらの頬に触れる睦月の手。
鼓動が激しくなる。
スッと口の中に睦月の細い指が入ったかと思うと、口内に甘さが広がった。
そう、口の中を転がる球体。
「―――飴玉?」
驚いて目を開けると、
「君は少し疲れているんだろう?甘い物を摂るとイライラも治まるだろう」
と屈託なく微笑んだ。
月明かりの下、無邪気な笑顔を見せる睦月の姿に目眩がした。
「レモンオイルの飴だ、美味しいだろう?」
そう言って覗き込む。
何も言えずに、ただ頷くと、
「良かった、機嫌も直ったようだ。まったく君は時に子供のように愛らしいな」
そう言って満足そうに微笑んだ。
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