東雲草 第五話

第五話 月光 ―琢磨―

その後も睦月は自室から出て来ることはなかった。

隣の部屋に篭っている睦月。

そのドアを眺めながら、苦い気持ちで自分も一人寝室に入った。

彼の部屋を無理やり開けて、寝室に来るように告げたなら、きっといつものように抵抗もせずに受け入れるのだろう。

睦月に触れたいと内側から込み上げる衝動を感じながら、もう触れては駄目だと抑制する。

これ以上、睦月に囚われてしまわぬように。

何より彼が自分に触れられることを本心では望んでいないことを思うと、胸が苛まれるように痛むことも感じていた。

その痛みは日毎に激しくなる。