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綺麗な両の目から涙を零し、苦しい胸の内を吐露した睦月。
あの時の自分は、彼の過去に同情も共感もせず、
月明かりの中、涙を流す睦月がただ美しくて目眩がしていた。
本当に自分は熱病に冒されている。
苦笑を浮かべながら、再び窓の外に目を向けると庭園に人の姿があることに目を凝らした。
そこに見えるは月明かりの下、放浪するように歩く睦月の姿。
「――――ッ!」
その姿を見た瞬間、何も考えずに部屋を飛び出した。
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