第五話 月光 ―琢磨―

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口の中に広がるレモンオイルの甘さと、ほんの少し自分の口内に入った睦月の指の感触を思い返しては、狂いそうになる。 子供のようだって? 自分が今、どれほど邪なことを考えているか教えてやりたい。 いや、言葉で伝える必要はない。 そう思い睦月の手を引き、強く抱き寄せ、唇を合わせた。 美しい月明かりの下、レモンオイルの甘さに包まれながら睦月を欲した夜。 それは今思い返しても胸が詰まる、切なく甘い夜だった。 ~fin~

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