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王様と大貴族当主7人に睨まれてると気付いた瞬間、おじ様は青ざめてアワアワし始めて、息子の方は怯えて縮み上がってしまっている。
僕は慌てて青年の腕を引っ張り、彼等の視界から外した。
あれは不味い。
父親は自業自得だけど、この人は有る意味被害者だから、威嚇は駄目駄目、何も話してくれなくなるよ。
「大丈夫だから落ち着いて」
離れた所で座り込んでガタガタと震える青年に声を掛けると、ムスッとしたレオンと驚いているエイナが追い掛けて来た。
ムスッとしたままのレオンだけど、あの場から僕が青年を連れ出した意味を青年の様子から把握して、背中を擦ってあげてる。
「しっかりしろ。あいつに逆らえなかったんだろうけど、もう言いなりにはならなくて良いんだから」
そんな声を掛けて、怖がらずに自分の知っている事を全部話せば悪い様にはならないから、と宥めている。
その様子をエイナはまだ驚いて見ている。
「私には威嚇した癖にぃ」
エイナの呟きはスルーしたままレオンは背中を擦り続けて、やっと青年は落ち着いてきた。
背中を擦ってくれてたのがレオンだと気付くと、ビクリ、と大きく震えた青年は、それでも擦り続けているレオンに安心感を抱いたのか、フッと肩の力を抜いた。
「……僕が見たのは、黒い肌の、尖った耳の男。父上に何か、渡してた」
「なっ、チャムガ!この馬鹿者が!」
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