貴族の生活って

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白い部屋に居た時間は無かった事になっている様で、ハッと気付いた時には、あの部屋に呼ばれる前に丁度鳴り始めた振り子時計の10時を告げる音が、まだ鳴り止んでいなかった。 うおぅ。 驚いていると、お父様がデスクから離れて私に近寄る。 「アディ、お茶の時間だよ。今日は庭で飲もうか」 そう言い私を抱き上げる。 「お父様、お仕事は?」 首を傾げて聞けば、ふわっと顔を綻ばせて。 「午前中の分は終わったから、ゆっくり出来るよ」 そう言って書斎を出て、庭に向かう。 因に今の私の行動はオートでされたものだ。 ……アデリア、まだ2歳児なのに何故首を傾げるとかするかな。 如何にも女の子って感じで怖いわ。 そして。 庭に出ると、薔薇の香り。 ローズガーデン、と言うのだろうか。 こう言う場所に縁が無いからわからないけど、綺麗に手入れされている色とりどりの薔薇が、風に靡く。 煉瓦敷の小路の先には薔薇のアーチも見える。 「綺麗」 あ、これは私の言葉だ。 「そうだね」 ニコニコ微笑む父親に抱っこされたまま小路を進みアーチを潜る。 と、白い屋根のあずまやが見えた。 濃いグリーンのテーブルと椅子が置いてある。 うわぁー。 何処からかメイドさんがやって来て椅子にクッションを置くと其処に座らされた。
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