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「勿論」
え。
それは駄目だって。
「じゃあ仮契約ならOK」
そう言えば。
「ま、取り敢えずそれで良いか。んじゃ、仮契約な」
そう言って右手を差し出す。
「握手?」
「ああ、仮契約はな。本契約だとキスして貰う事になる」
はー。
勘弁して下さい。
いくら格好良いと思ってもそれはまた別だよ。
「別に口にとは言ってないぞ?」
かなり顔を引き攣らせたのは自覚してたが、私の顔を見て、左手で頭を撫でながら宥める様にルシファーが言う。
あ、そうなんだ。
口かと思って吃驚したわ。
ま、兎に角、仮契約を済ませちゃおう。
ルシファーの右手を握ると、青白く光って直ぐに光は消えた。
「これで何時でも俺を呼び出せるから、困った時だけじゃなく暇な時も呼べよな。話をしよう」
と、立ち上がるルシファー。
「もう行っちゃうの?」
そう聞くと。
「アディ、クライスが来ちゃうから。僕が行くからって言ってきたけど、心配してるから」
ミカエルが言う。
「そう言う事だ。またな」
また私の頭を撫でて、ルシファーは翼を広げて飛び上がる。
アポスの結界は何時の間にか消えていた。
ミカエルが私を抱き上げて、じゃあな、とルシファーに言うから、私もまたね、と言おうとしたけど口が動かない。
勝手に手を振っている。
あ、オートに切り替わったのか。
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