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記憶が降ってくる。
名前、アデリア・ホワイティル。
年齢、2歳。
性別、女。
この大きいお屋敷の、目の前の男性と同じ金髪碧眼の、お嬢様。
それが私で。
隣に寝ている男性の娘だ。
はぁ?
何それ!
「おはよう」
そう言われて、おはようございます、と返す。
ああ、確か昨夜は、お母様が弟を出産されたから、お父様と一緒にお休みなさいって……。
あれ?
何、この言葉使い?
部屋を見れば、西洋風の豪華な作りの綺麗な部屋。
私の住んでる1DKのアパートとは雲泥の差だわー。
「アデリア、起きられるかい?」
身体を起こして微笑みながら私に手を差し出すお父様。
何この人、王子様?
親じゃ無ければときめくシチュエーションかな。
……それは無いか。
格好良いと思うけどそう言う対象としては好みじゃ無いし。
「お父様、抱っこー」
はい?
何言っちゃってるのかな、私?
「しょうがないなぁ。アディは甘えん坊なんだから」
クスクス笑いながら、両手を持ち上げて差し出した私の、背中に手を入れて抱き上げるお父様。
優しくて大好き。
しがみついて、肩にスリスリ顔を擦り付ける。
って、何甘えちゃってるのかな?
うーん、どうもアデリアの記憶と私の記憶がごちゃ混ぜになってる。
これ、夢なんだよねぇ?
やけに感触がリアルなんだけど?
あれ?
夢じゃ無い?
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