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ゴンッ。
……。
痛い。
って事は……夢じゃ無い……。
えー?
あれから抱っこのまま、お母様と弟に会いに行って、立派な食堂に連れて来られて。
で、降ろされて席に着くために歩き出したら、直ぐにコケた。
幼児で頭が重いんだね。
思いっ切り額を床にぶつけたよ。
起き上がるとお父様が抱き上げる。
「偉いぞ、アディ。泣かなかったし、自分で起きられたね」
優しく微笑むお父様が歪んで見える。
涙目になってるのは仕方無いか。
額を擦れば、見せてごらん、と言われ。
手を外せば、どアップの父様の顔。
うわぉ。
我が父ながら本当にイケメンだ。
じっと私の額を見て、ちょっと強くぶつけちゃったね?と手を翳す。
と、すうっ、と痛みが引いた。
ん?
何、今の感じ?
……魔法。
って、魔法!?
あ、此処、魔法の世界だ。
「お父様、ありがと」
私はそう言ってお父様の頬に頬擦りする。
って、何て事してるの!
口と身体が勝手に動きますが!?
って言うか、この子の身体なんだから当然なのか。
私の身体じゃ無い。
私は幼女じゃ無いもん。
どうもアデリアと言う幼女の意識の中に私が入り込んでしまった様だ。
でも五感は自分のものそのままなんだよね。
ちゃんと料理の味もわかる。
どうなってるの?
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