目を覚ませば其処は?

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食事の後、お父様の書斎でお父様が仕事をする横で、魔法使いの話の絵本を読む。 どうやらアデリアのお気に入りの絵本らしい。 初めて読むのに、内容を覚えている。 聖なる光の魔法で、闇に染まり崩壊寸前の世界を救った光の魔法使いの話。 ……何だかなー。 誰かこの状況、説明ぷりーず。 この子は勝手に動いて話すのに、この子の感情とか考えが見付からない。 ちょくちょくアデリアとしての感情が溢れるけれど、それは私の感情で、別物の感じは無い。 単にこの子の身体の中に入り込んだと言う訳では無さそうだ。 意識が同化してる? それより、私、何しててこんな世界に入り込んでるのかな? 何してたんだっけ? と、頭に響く、聞き慣れない音。 ―――キキーッ!ドンッ! へ? 何、今の音? 事故? ……って!事故! 私、事故に遭ったんじゃないか! 高校からの帰り道。 公園から飛び出した自転車の子供。 それを避ける為にハンドルを切ったんだろう、トラック。 反対側の歩道を歩いてた私に突っ込んだんだ。 凄く痛い、と思ったらもう目の前真っ暗だった。 思い出したよ。 有りがちな交通事故。 え……私、死んだの? でも、此処は天国じゃ無いよねぇ。
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