第1話

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派手なデコレーションメールの題名には 大げさにも『招待状』と書かれてあった 『招待状』なんてかいてあるから 知らない人間が題名だけをみたら きっとなにかの抽選に当たった なんてテンションがあがるかもしれない だか私は即刻メールを消したい思いだ この派手派手なデコレーションメールを おくってきたのは、 同級生の阿波野妙子だ。 阿波野は二年連続同じクラスで 電話帳には『ヘビ女』と登録している 本人の前では命令どうり 『阿波野妙子様』と登録しているが いえに着いてすぐに 『ヘビ女』と書き換えるのだ。 阿波野の前でヘビ女なんて言えば イジメの標的にされて 学校で生きていけなくなるから 口が裂けても言えないけど、 メールが来て『ヘビ女』と 表示が流れた瞬間たまらない 快感がこみ上げ胸がすっとした。 ずっと胸に隠していた悪口を 思いきって叫んだような気分だった。 「王様の耳はロバの耳」という 童話で少年が胸にかくしていた 王様の秘密を穴の中に叫ぶ シーンがあるけれど、 私はなぜかそのシーンをおもいだし 少年と同じような気持ちになったのだ
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