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例えばわざと私の前で携帯電話で話したり 携帯を持っていないのを知ってて
番号やメールアドレスを聞いてきたり、
壊れた携帯をあげると言ってきたりする。今は中学生でもほとんどの子が持っている 高校になると100%といってもいいくらい
みんな携帯を持っている。
阿波野には携帯も買えない貧乏家庭
とまで言われたこともあった。
私は反論する勇気もなければ
言い訳の言葉すら出なかったが
内心悔しくて、悲しくて、
ケータイさえあればこんなにイジられる
ことはないし惨めな想いだって
しないで済むのになあって思っていた。
だからやっと携帯を手に入れた昨日は
机の上に立ってクラス全員に
自分の携帯を見せつけたい想いだった。
勿論そんなん勇気はないのだけれど……
生まれて初めて自分の携帯が
持てたことが嬉しくて嬉しくて
今日は一日中用もないのに
携帯を取り出しては眺め、
少しでも汚れていれば
息をかけてハンカチでふき、
無意味に蓋をパカパカと開け閉めしては
お金がかからない範囲で
色々な機能を試した。
これでもうイジられることはないし、
平穏無事な高校生活を送れると
思っていた。
だけどケータイデビューしたことが
阿波野に知れると奴はすぐに
メールアドレスだけを聞いてきた。
それがこの『招待状』を送るためだ。
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