2人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
キヨシはビルの屋上を走り渡った。追っ手から逃げながら……
(あいつ……すごく速い、人か?それとも……)
キヨシは追ってくる人影から必死で逃げていた。しかしキヨシは気づいた。
(あいつ……見るからに一人だよな、殺せるんじゃないか?)
そう思うとキヨシはその場で止まり振り返った。そして追ってくる人影が目の前で止まった。
「あなたが出てくるのをどれほど待ったか……」
「……?どういうことだ?」
「藤山清志……」
「!?……何でその名前を?」
「私を……覚えていませんか?」
「僕は1年中同じ部屋で同じ人に痛めつけられていたからね、その人のことしか知らないよ」
「助けられなくてごめんなさい。私は……」
「いや、興味ない誰にも助けを求めたくないからね」
「そうですか……」
「最初私はつかまる前に助けようとしたんです」
「ん?……どういう……!?」
キヨシは月明かりに照らされた追ってきた人影の正体を見た。1年前……さらわれる日の朝に学校の教室に転校してきた少女だ。
キヨシは驚きを隠せなかった。
「君は……あの転校してきた……」
「そうです……森本美咲です、思い出しましたか?」
「でもなんで君が?」
「あなたを”助けたい”」
その言葉に驚いたキヨシは血器を背中から出した。
「君……僕を馬鹿にしてる?」
「そんなわけないでしょう?あなたこそ私が何もなしに追ってきたとでも?」
「少なくとも人の君に負けないよ?」
「あら残念私はイビトよ?」
ミサキの目が黒から赤に変わり右手から赤い刃状の血器が出てきた。
「僕とは違う血器……」
「えぇ……私はイビトよ?」
「やっぱり僕以外のイビト……いたのか」
「他のイビトは……」
「見たことないよ、僕は独りだったからね」
「そう……」
「同情は止めろ殺すよ?」
「ですからそう簡単に死には……」
ブシャァ!!
キヨシは血器でミサキの体を突きぬいた。キヨシは笑いながらミサキに言った。
「僕は独りがいいんだ」
ミサキの体が倒れてキヨシは振り返りゆっくりと歩き出した。
「……そんな……悲し……い声……で」
「さすがイビトだな」
ビシャァ!!
「!?」
キヨシは背後からミサキの血器で体を貫かれていた。
最初のコメントを投稿しよう!