第1章【再開】

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目覚めると、そこは見たこともないベッドの上だった。 まだ眠気の失せない脳みそをフル回転させる。 しかし、考えうる限りの可能性は否定される。 非現実的なモノ以外は。 あー、これはもしかするとテンプレ乙の展開か。 電子書籍をよく読むゆえの、非現実的な答え。 あってるはずがない。 と、思うものの、それ以外の可能性は浮かばない。 「目覚められましたか」 リン、として響くような─────例えるならば鈴。 鈴のような声。 その方向に顔を向けると、 それはまぁ!見たこともないような美女がおりました。 茶色の髪は肩に絡んで大人の女性を思わせる妖艶さを醸している。 その顔は全体的に整っていて、童顔なのに妙に大人っぽい。 結果、惚れてまうやろー!(笑) うーむ、テンプレな展開に一歩前進してしまったぞ。 「あなた、お名前は?」 うっわー、美女に名前訊かれちったわ。 やべーわ、死んでもいいわ。 「武中優也です」 「そう、珍しい名前ね。 私はマリカ・ロードラン。 よろしくね、ユウヤくん」 そう言って、彼女は手を差し伸べた。 え? あ……握手か? 「よろしくお願いします。マリカさん」 手を握ると、マリカは少し驚いた表情をした。 「あら、いきなりファーストネームで呼ぶなんて大胆ね」 ファーストネーム………、まあ、名前聞いた時点で思ってたけど、予想どおり、ここは日本ではないどこか、だ。 そして俺は日本語で喋ってる。 日本ではないどこか、で、日本語が通じる…………これは異世界としか考えられないな。 今の状況からして。 そして俺は、用意していた言葉を打ち出した。 「それは貴方も同じですよ。 僕のファーストネームはユウヤですから」
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