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無駄話をしているとまたしても、生ぬるい風が入ってきた。
「カナ。ドア閉めて。厄介者ばかり今日は来る。」
黒のマントに身を纏っているその人間は単語を並べ始めた。
「久々。隠者。依頼。報酬。寿命。」
声は低く、どうやら男のようだ。
「はぁ~。相変わらずだな。“devil”。」
黒のマントにだけ眼がいってしまったが、シャツもズボンも全てが黒い。
更には、包帯で両目を巻いている。
「心眼。仲間。歓迎。」
「いいから、普通に喋れ。“ヴァン”。“知っている”人間しかいないだろう。“この場所”には。ったく今度は“裏”か。表裏一体ってか。」
「“表”…?“正義”?」
アルが小さく頷く。
ヴァンと呼ばれたその男が体から“漆黒の闇”を溢れ出す。
「我。嫌悪。殺意。沸騰。」
「やめてくれ。“漆黒”はオレや皇帝は大丈夫でもカナにはきつい。」
「ワルカッタ。ダガ、アィツ二ハ…!」
二文字の漢字で喋っていた男はいきなり発音がおかしくなった。その男は漆黒の闇を体内におさめた。
そして無機質な声でこう言った。
「イキナガラ地獄トイウモノヲミテモラウ。」
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