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随分前に湯気がたっていた珈琲を飲み干す。
白髪に左眼には眼帯。白のポロシャツに青のジーパンをきた普通に見えて普通とは言えない自分。そして白のポロシャツには赤黒いシミがいくつもついている。
「もう、このシャツは捨てないといけないな。」
くるっとした癖のある長い前髪を右手で触る。そういえば髪も長い間切っていない。
モサモサしていて頭が重い。
「それはそうでしょう。どう見ても犯罪者にしか見えませんよ。そして、その髪はやく切って下さいませんか?見ていて不潔そのものです。」
水色という珍しい髪色。その髪は腰あたりまであり長い。
透き通る程綺麗な肌に、これまた珍しい水色の瞳。
そして水色のワンピース。
贔屓目をなしにしても恐らく全ての女性が羨む体型、美貌をしている。
全ての特徴に水色が入る彼女は僕の助手兼彼女でもある。
「依頼が終わったならすぐ着替えなさい。アルは特に“巻き込まれ”やすいのだから。」
「説教は後で聞くよ。カナ。君もよく僕に“巻き込まれ”たものだ。」
それは運命とかではない。
君を生かしたのは“僕”だから。
初めて信じてくれた“君”だから。
面倒だとも思わずこの眼帯を外した。
あるのは、君を助けたという罪(じじつ)。
でも、後悔はしていない。
“壊れた”のは僕自身が望んだことだ。
そして、これからも壊れる。
その事を君は知らない。
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