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どうでもいい会話を続けている自称探偵とその助手。
ピシッとスーツを着こなした組織員とも会社員Aとも呼ばれた男は頭を抱える。
黒い髪は短く切っていて、肌も全くと言っていい程荒れてはおらず、長身である。
キリッとした眼をしており、整った顔立ち。
「どうでもいいが、依頼を聞いてくれないか。」
「嫌だぜ。“emperor”。何が組織員だ。こいつ自身は詐欺師みてぇなもんじゃねぇか。」
「まあ、それも否定はしませんが…。」
「いや、そこは否定してくれよ助手。」
「無理です。その若作りで35歳ってありえません。」
どうでもいいが、話がどんどん逸れていく。
この男が来てから一時間は経っただろうか。
ようやく本題へと話が戻る。
「わかったよ。依頼だけは聞いてやる。聞くだけだがな。」
白髪のボサボサ頭を右手でかきながらそう答える。
「だが、一つ言っておく。眼帯をはずす依頼は受けない。」
ピクリとスーツの男が動いたのをアルは見逃さない。
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