第3話

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  しかし彼は、困ったような笑みを浮かべているだけだ。 「……はは。それはまた、別の問題でしょう。羽村は優秀です。彼女にも、彼女なりのやり方が……」 「でもっ……!」 まだ、羽村澪をかばうの? あなたは私の味方でしょう? 私はもう一歩、長瀬恭へと踏み込んだ。 手を握り締めながら、思い詰めた様子を装うことも忘れない。 「長瀬さんなら……長瀬さんとなら、きっと、もっと上手くいったはずなんです……!」 そうよ。あの女さえ邪魔しなければ、もっとスムーズだった。 誰にも邪魔されずに世界を塗り替えることができた。 全てはあの女のせい。 ふつふつとわき上がる苛立ちが、声に表れてしまう。 「羽村さんが優秀な方だったとしても……私は長瀬さんの方が……」 「……御園さん、落ち着いて」 「長瀬さん……!」 なだめる長瀬恭の声に顔を歪めながら……今がチャンスだと判断した私は、彼の胸へと倒れ込んだ。 .
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