第3話

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  「……仕事の現場で、こういうのは……あまり良くないと思います」 「あっ……」 困ったように眉を下げる長瀬恭の言葉に、私はさも今気がついたかのように反応する。 そんなの織り込み済みよ、けれど……ここで粘って好転することはなさそうだ。 私は足に力を入れ、自力で立った。 そしてそそくさと目尻を拭って彼に謝る。 「私……すみません、取り乱してしまって……」 頬を手で覆い、恥ずかしさを堪える仕草も付けた。 長瀬恭は穏やかに微笑み返してくれる。 「大丈夫です、気にしてませんから」 そう、そうよね。むしろラッキーくらいの出来事よね、彼からすれば。 こういう触れ方を嫌がる男はいない。少なくとも私が出会った男の中には。 仕事場だから固辞しただけ。場所が悪かったのよ。 ……でも。 これからは違うわ。いつどこでだって彼と繋がれる。 だって私は、『相談』という名の手段を手に入れたのだから。 .
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