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忠義を愛し 掲げた剣の
切っ先で踊る眩い光に
美しき女神を垣間見ては
命も顧みず 駆けて行く
遥かなる天空を
雄々しく飛ぶのは孤高の鷲
騎馬の蹄に絡み付く
血飛沫の滲む土煙と怨讐
涸れた涙の痕に芽吹いた
幼い国家が 牙を剥く
廃屋の片隅で息を潜める女は
焼け落ちた天井から覗く空を
ぼんやりと見上げている
まだ見ぬ片割れの大地では
争い事など皆無らしい
穏やかな日々を戦禍の希望に
兵達は始まりの翼を想う
同じだけの希望と苦痛を
顧みもせず蹂躙しながら
陰る陽が地表を黒く染めるも
堕ちた鷲の眼光は尽きず
ただその魂は苦悩に喘ぐ
鳴りやまぬ哀しみよ
尽きぬ命の招く嵐よ
私は過ちを犯したのか――
傲れる王が高らかに吼え
嘆きの英雄が膝を突いた時
天高く坐(マシマ)す尊き手より
審判は下される筈だった
傷だらけの大地へと
穢れ無き翼が降り立つ
時代の終焉は
もう間近――――
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