プロローグ

2/2
228人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
 人類が人間を造って飼う程に人間科学が発達した時代。その造られた人間『ライブレス』が主人の隣に寄り添って歩くという光景が当たり前な程に法律が変化した時代。 「梨奈! しっかりしろ梨奈!」  造られただけあって身体能力も飛躍的に伸びているライブレスは、意識も人格も個性もあり、それでいて主人の命令は絶対であるのが真理。 「ッ……ごめん、ね……」  しかし時に暴走してしまう。人間でも有り得るように、犯罪に手を染める事もある。 「しっかりしろ! い、今救急車を……」  そして時にライブレスは、その脅威的な程に強力な能力で人も殺める。 「……自分でも……もうダメな事は……ゲホッ……分かってるから……」 「そんな事言うなよ!」 「……最後の時くらいは……さっくんの、レアな笑顔を……見てたかったなぁ……」 「梨奈……梨奈ぁぁぁぁ!」  その日、僕の手は、彼女の血で染まった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!