下僕ができました

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 呼ばれてリビングに入ってきたのは、執事服を着た中性的な顔立ちのライブレスだった。しかしその顔には表情が薄く見える。  人間っぽいと言えるのだろうか。僕からすれば、第一印象は凍てつく氷だ。 「アリン君。この子がこれから主になる九条 朔真(クジョウ サクマ)。高校二年生の思春期」  お母さんが僕を紹介すると、表情が無かったはずのアリンが目を丸くした。その後冷笑を浮かべるように綻び、そしてもとの無表情に戻った。  何だあの表情の移り変わりは。僕を小馬鹿にしているのか? 「とりあえず思春期かどうかは分からないでしょ、変な自己紹介は第一印象を悪くするよ」 「思春期真っ只中じゃない、さっくんは。とりあえずこっからはアリン君に任せるわ」  それだけを言い残すと、お母さんは僕達を残してリビングから出ていった。
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