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その不思議な桜は埼玉の吉見町という町のとある小学校にある。
いつからその桜の木があるかわからない。
体育館の裏にひっそりと山桜の木が一本ある。
北側にあるせいか体育館の裏手にあるせいかは分からないが昼間でもそこは暗く、また不気味である。
なぜ体育館の裏という目立たない場所にしかも一本だけこの山桜があるかは誰に聞いても分からなかった。
普通に見ればただの桜の木だが不思議な現象が絶えなく起きているのもまた事実である。
その中の一つにこんな話がある。
ある秋の日曜日の夕方、近所の5人の男女がこの学校のグラウンドで遊んでいた。
この小学校は体育館の表側のすぐ隣がグラウンドになっている。
遊び疲れた5人は体育館の南側にあるベンチに腰掛けて休んでいた。
すると突然体育館の屋根から何かが転がる音がした。
びっくりして見上げてみたがわからない。
屋根に誰かが上って遊んでいるのかと思い、屋根を見渡すと人影が体育館の裏手に歩いていった。
5人は誰が上って遊んでいるかを調べようとその人影を追い掛け体育館の裏手にまわった。
しかし、その人影は体育館の裏手にある桜の木の辺りでかき消すように姿を消した。
5人が証人として目撃しており、言い逃れ様のない事実であろう。
なぜならば同じような体験をした人が複数いるからだ。
みんな口をそろえて同じコトを証言する。
あれが何なのかは今だ分かっていない。
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