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この山桜の木に関する話にもうひとつこんな実話がある。
毎年夏になるとこの山桜の木のある小学校では夜には近所の少年達の溜まり場となったりもする。
そんなある夏の話である。
地元の卒業生の少年達が近くの広場で花火をして遊んでいた。
決して珍しい光景ではなく夏になるとあちこちで家族や友達同士で花火をして遊ぶ光景が見ることができる。
そんなありふれた光景のヒトコマ。
花火をしていた少年達は花火がおわったら学校で肝試しをしようという話になった。
ごく有りがちな話である。
肝試しのコースとしては学校の正門から出発して校舎の裏を通り、体育館の裏から回って体育館の表側にあるトイレの個室の中にあらかじめ用意してある鉛筆を持って帰ってくるというコースだ。
ただそこのトイレには電気などは一切付いていないため真っ暗だ。
しかも不思議な噂のある体育館の裏手の山桜の前を通らなくてはならない。
だが肝試しに使うにしてみれば何とも都合が良かったのだろう。
こうして肝試しはスタートした。
二人一組で組み、まず一組目がスタートし、少し時間を空けて二組目がスタートする。
八人なので合計四組が時間を空けてスタートしていく。
まず1組目が帰ってくる。
5分位して2組目が…。
そんな時に事件は起きた。
3組目が帰ってこないで先に4組目が帰ってきた。
不思議なことに追い越してきたわけではないらしい。
20分経っても帰ってこない。
これはおかしいとみんなでいなくなった3組目のふたりを探すが見つからない。
肝試しのコースをもう一度探してみる。
やはりいない…。
どこへ行ってしまったのだろうか?とりあえず見つからないし携帯にも連絡がつかないので近所の家に助けを呼ぶことにした。
するとスタート地点に誰かがいる。
よく見るといなくなったふたりだ。
安堵するみんなをよそに不思議そうな顔で何が起きたのか聞いてきた。
話によると普通にコースを歩いて今帰ってきたのだという。
しかし、あとからスタートした4組目は彼らを追い越していないし、みんなで探したがコースはおろか学校のどこを探しても見当たらなかったのだ。
一体彼らはどこに迷い込み空白の時間をさまよっていたのだろうか?未だ謎のままである。
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