実録・病院の怪

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病院という場所は少し周りの社会とは違った空間がある。 人間の生き死にが毎日のように繰り返されることが当たり前の職場なのだ。 そんな職場だからこそ怪奇現象の全く無い病院を探す方が難しいだろう。 そんな病院で実際に体験した実話のみを1話づつ話していこう。 俺は何年か前まで埼玉の嵐山町にあるとある病院で働いていた。 ベッド総数175床くらいの中規模の病院である。 俺はそこの2階と3階で1年半づつ、計3年働いていた。 入職してから3ヵ月が経ち、仕事にも慣れ始めた頃だった。 俺はそこの病院に来てから2階に配属され、初めての夜勤業務をするようになった。 夜勤業務は夕方4時半~翌朝9時までの泊まり込み勤務である。 初めての夜勤で右も左も分からずに必死に業務をこなし、一息入れて仕事が落ち着いたのは夜中の1時を回った辺りだった。 初めての夜勤で疲れと緊張とが入り交じり眠気が襲ってきた。 1時から4時までは仮眠を取ることが出来るので俺はトイレに行ってから仮眠を取ることにした。 トイレに行く途中エレベーターの前で患者とすれ違った。 「ん?あれは誰だ?」 ウチの階の患者ではない。 声をかけようと後ろを振り向くとエレベドアが閉まり、下へ降りていくところだった。 慌てた俺は一緒に夜勤組んでいた看護師に報告し、各階の患者で誰か抜け出した患者がいないか大至急確認を依頼した。 すると、3階の東病棟だけが内線に出ない。 不審に思って3階東病棟へ行くと大騒ぎになっている。 俺はてっきりここの病棟の患者がいなくなって騒いでいるのかと思い、さっき見た患者の報告をしようとしたら、看護師が 「飛び降り自殺だ!大至急先生に連絡して!」 などと大騒ぎになっている。 慌てて他の看護師と医師とが患者をストレッチャーに乗せて運んできた。 そのまま心肺甦生処置が施されたがすでに患者は死亡していた。 顔を見て俺はびっくりした。 さっき自分の病棟ですれ違った患者である。 なぜ? さっきエレベーターで下へ降りていったはずでは? でもさっきここの看護師は飛び降りって言ってたよなぁ? 俺は状況が理解できず意味が分からない。 聞いた話によると病室の窓を割って外へ出て飛び降りたらしい。 じゃあ俺が見たエレベーターで下へ降りていく姿は何だったのだ? あれは幻ではない。 既に死亡していた患者の幽霊だったのだろうか?
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