1 新しい門出

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ふと顔をあげて、見上げてみれば。 ビルの間から見える青い空。 それは、冬の深みのある「青」とは、ちょっと違う色だけれど…。 春らしく清々しいその色は、近隣に咲き誇る桜の花の薄紅色と相まって、お互いの美しさをより強調させているように思えるから不思議だ。 まさに、天気は良好!! 気温も申し分なし!! 下ろしたての真新しいスーツできっちりキメて…。 これからの新しい門出を祝う入社式には最高の日和だろうと思われた。 …俺の名前は、古宮和輝。 本日よりこの会社に入社し、新社会人として晴れの一歩を歩みだす……はずだったんだけど。 迫り来るプレッシャーと緊張のためか、昨夜はなかなか眠ることが出来ぬまま朝を迎えてしまい…。 今、入社式の会場を目の前にして、体調不良のため辿り着くこともままならずに、その場に座り込む始末。 最悪だなぁ…せっかくの会社の入社式の日だというのに…具合が悪くなるなんて情けない。 初日が肝心なのに…良いイメージもたれないよ…。 動けぬまま落ち込む俺に、その時、スッと影が差した。 、
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