気づいてるのに「会いたいキモチ」

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最近、アカンなぁってよく思う。 「あー、……淋しいなぁ」 広すぎる自分の部屋に、クリアに響く独り言。 寂しさが倍増する気がして、立ち上がりキッチンに向かった。 大原と付き合うようになって1年とちょっと。 付き合い始めた時からコンスタントに会えてた訳じゃないけど、ここ最近は特にお互い忙しくて。 もう2週間近く、会えていない。 冷蔵庫の扉を開けて、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出してキャップを捻った。 口を付けて水を流し込んだ所で、リビングの方から軽快な音が流れてきて。 身体をリビングに向けて音の行方を探していると、テーブルの上に置きっぱなしだった携帯がチカチカ光っている。 鳴りっぱなしなとこを見ると、どうやら着信のようだ。 慌てて駆け寄り携帯を手にして発信者を確認すると、『大原』の文字。 「……あ、」 余りにもタイミング良くというか、俺の気持ち読めるんかな、って位声を聴きたい相手からの着信に少しビックリして。 一回小さく深呼吸してから通話ボタンを押した。 「……もしもし」 「あっ、マルちゃん出るん遅いわぁ」 何ヵ月も聴いてなかったんじゃないか、って位懐かしく感じる優しくて心地よい低音の大原の声。 安心して少しだけ鼻の奥がツンとしたのは、ここだけの秘密。
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