139人が本棚に入れています
本棚に追加
最近、アカンなぁってよく思う。
「あー、……淋しいなぁ」
広すぎる自分の部屋に、クリアに響く独り言。
寂しさが倍増する気がして、立ち上がりキッチンに向かった。
大原と付き合うようになって1年とちょっと。
付き合い始めた時からコンスタントに会えてた訳じゃないけど、ここ最近は特にお互い忙しくて。
もう2週間近く、会えていない。
冷蔵庫の扉を開けて、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出してキャップを捻った。
口を付けて水を流し込んだ所で、リビングの方から軽快な音が流れてきて。
身体をリビングに向けて音の行方を探していると、テーブルの上に置きっぱなしだった携帯がチカチカ光っている。
鳴りっぱなしなとこを見ると、どうやら着信のようだ。
慌てて駆け寄り携帯を手にして発信者を確認すると、『大原』の文字。
「……あ、」
余りにもタイミング良くというか、俺の気持ち読めるんかな、って位声を聴きたい相手からの着信に少しビックリして。
一回小さく深呼吸してから通話ボタンを押した。
「……もしもし」
「あっ、マルちゃん出るん遅いわぁ」
何ヵ月も聴いてなかったんじゃないか、って位懐かしく感じる優しくて心地よい低音の大原の声。
安心して少しだけ鼻の奥がツンとしたのは、ここだけの秘密。
最初のコメントを投稿しよう!