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「あ、ごめん。キッチン居って気付かんかった」
『そうなんや。マルちゃん今日オフ?』
「うん、珍しく丸1日オフやねん」
『ええなぁ』と言う大原の声を聴きながらソファーに腰掛けて、ペットボトルをテーブルの上に置く。
「大原は仕事中?」
『おん、ドラマの撮影。今、空き時間でマルちゃんに電話してみた』
電話越しに柔らかい空気が伝わってくる。
きっと、電話の向こうで大原は彼特有の微笑みを溢しているのだろう。
「せっかくの待ち時間やねんから寝といたらええのに」
『それも考えてんけど、最近マルちゃんの声聴いてへんなぁ、思て』
自分でも可愛くない、って分かってる台詞も大原は簡単に流して僕の欲しい言葉をくれる。
「……そっか」
『マルちゃん、寂しかった?』
大原は悪戯口調で、でも半分真剣にそんな事を聞く。
「寂し……かった、よ」
本人に面と向かって言うのは、幾ら電話越しでもちょっと照れる。
『俺も寂しかったよ』
「……大原」
『マルちゃん不足なんかな、俺』
携帯取り出して、迷わずマルちゃんの番号表示して掛けてた。
大原は、ふふっ、て笑って『アカンなぁ、俺』なんて言うから。
つい「アカン事ないよ!」って叫んでしまった。
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