夢の国の眠り人形

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  「サエ、お誕生日おめでとう!」 「パパ、ママ、ありがとう!」 サエはチョコケーキのロウソクを吹き消しました。 サエの父親、母親、そして姉のリエ……。 円卓テーブルを囲むように家族が座っています。 「サエは八才になるのか?」 「違うわ、パパ。私はもう九才になるのよ」 「おっと、そうだな」 父親はポリポリと頭をかきました。 「はい、パパとママから誕生プレゼントよ」 母親はサエに黒いメモ帳を渡しました。 「わあ、嬉しい。これ、前から欲しかったの!」 サエは両親に笑顔を見せ、嬉しそうなふりをしました。 「私からは、サエが前から欲しがっていたお人形をあげるわ」 「やったー! お姉ちゃん、ありがとう」 サエは涙をこらえました。 もしもこの光景に立ち会った人がいたなら、誰もがサエを幸せな女の子だと信じるでしょう。
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