13人が本棚に入れています
本棚に追加
サエ、リエ、リエの友達の三人は部屋で遊んでいるうちに疲れて眠ってしまいました。
夢の中で、サエは人形に出会います。
「ここはどこ?」
サエは人形に尋ねました。
「いらっしゃい、ここは夢の国よ」
ふわふわとただようチョコケーキとゴミ袋。
彗星の尾のように部品を撒き散らしながら横切ってゆく壊れたカメラ。
ふと下を見て、自分も空中に浮かんでいると理解しました。
「夢の国へ送られるのは、サエちゃんが『いらない』とか『消えて欲しい』と思ったものなのよ」
「そうだったのね」
「私は夢の国の住人なの。私の目が開くとき、夢の国への扉も解き放たれるの。覚えておいてね」
「うん」
サエは自分の足元を見ました。
足元には自分たちが寝ていたリエの部屋の景色が広がっていました。
ひとり、ある人物が起きました。
隅に置かれていた眠り人形がカタカタと小刻みに震えます。
ピンクの手帳はリエの手元から消えました。
けれども眠り人形の瞳は閉じたままでした……。
最初のコメントを投稿しよう!