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サエが目を覚ましたとき、窓の外は薄暗く染まっていました。
リエとその友達を起こします。
「もうこんな時間! 今日は遅いから家に帰るわね」
友達は立ち上がりました。
「待って。私の手帳がないわ」
リエは友達を引き戻しました。
「わ、私が盗むわけないじゃない。私たち、友達でしょ」
リエは友達の弁解を無視してカバンを確認しました。
ポケットの中まで目を光らせます。
けれども手帳は見つかりません。
「まさか……」
リエはサエの部屋へ走りました。
サエの勉強机の引き出しの中には、ピンクの手帳と黒い手帳が並んでいました。
「あんたの仕業だったのね」
リエは顔を真っ赤に染めて怒りました。
「ごめんなさい。つい、羨ましくて……」
手帳を盗んだのはサエだったのです。
「よくも私の手帳を!」
リエはサエの頭をぶちました。
「お姉ちゃん、痛いよう」
サエはしくしくとその場ですすり泣きました。
リエの豹変ぶりに度肝を抜かれた友達は、思わずカバンを落としてしまいます。
その瞬間、部屋の隅に放置していた眠り人形の瞳がカッと開いたのでした。
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