第1章 山中の怪

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††† 夢の現代・・・。 ネットワークはあらゆる情報設備とインフラの境界をなくし、すべてを結合してシームレス・エクサインフラストラクチャー(SEI)として運用されている。 SEIは有線、無線に関わらず全世界で全通信網を共通化した世界標準規格であり、全人類に最低限の生活を保証する制度であり、それを活用できる人には成功をもたらす夢のツールインフラでもある。 このインフラを利用するために欠かせないのが『エージェント』だ。 SEIによって様々な通信を含めたネットワークは繋がったものの、その中に独自に構築されたシステムは独自の仕様を有する。 各々のサービスや運用の特性に合わせてセキュリティを設け、システムを構築しているからだ。 そのため、各システムの規格を判別してシステム間でそれぞれの情報やデータを扱えるように規定、翻訳する必要があり、また、翻訳した内容に正しく意味付けをしなければ、それらのデータを利用することはかなわない。 そして、その両方を実行するのが、エージェントと呼ばれるプログラムだ。 エージェントは単なるシステム間の異規格間連携ソフトではなく自律性をもってあらゆるシステム間を取り持つことができ、またユーザーインターフェースを兼ねていることから”代理人“の名を冠する。 このプログラムをインストールしたエージェントデバイスを介することで、人類の生活圏のいかなる場所から、どんな時間であろうとも、SEIから色々な情報を引き出し、様々な手続き、物事の手配をでき、多くの機器の制御が可能となる。 つまり、これさえあれば、迷子になることなど決してないのだ。 普通ならば・・・。 †††
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