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少年が、
「あっ…!」
と、声をあげるのと助光が飛び起きたのが、ほとんど、同時だった。
「急に動かれては、なりませぬ!」
少年の言葉に続いて、
「気がついたか。」
声をかけてきた者が、いた。落ち着いた雰囲気の、男性だ。
目の前に、直衣姿の青年公卿が座していた。年は、25?26歳。助光らの主・日野俊基だった。
傍らには、牛童(うしわらわ)の少年がいる。
牛童とは、牛車を牽く牛を飼い、牛を操る者の呼称である。
手に手綱と鞭を持って牛を統御し、乗者を快適に運ばねばならない。この場合、乗者とは、主の俊基や俊基の妻子だ。
頭部は垂れ髪の、童子姿。水干や狩衣を着用し、草鞋を履く。若者から老齢者まで、実にさまざまな年齢層である。
獰猛かつ巨大な牛を統御するには、童の持つ、霊力や呪的力が期待された。
ゆえに、成人後も童形(どうぎょう)の姿をし、犬男丸、子犬丸、黒雄丸などの名が付けられたという。
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