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大路に出るまでの間、俊基らは、いくつもの牛車とすれ違った。
小路から朱雀大路に差し掛かると、さすがに、人々の通りも賑やかになる。
壮麗なる伽藍。数多ある、歴史的建造物。人の群れ。物を売る者たち。
見渡せば、牛車がそこかしこに見える。
多彩で豪華な牛車は、乗る人の身分により、種類や車副の構成、服装などに違いがあった。そのため、主の身分や地位が、推測できるほどだ。
例えば、檳榔毛車(びろうげのくるま)。
白くさらした檳榔毛で、車箱全体を葺く。物見(窓)はなく、軒・柚も格子で前後に簾をつけ、青末濃の下簾を用いている。
車箱全体を、青・赤・紫などのより糸で織った糸毛車(いとげのくるま)もある。これなどは、金銅そう文を所々に散らし、飾りとした。
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