169人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほら、美咲行こう」
美咲をなだめながら、泉達とは離れた場所の席についた。
イベント会場は、中央ステージをコの字型に客席が囲う形だ。ステージ奥には巨大スクリーンがあり、【Kill Time】と表示されている。
イベント開始を着席して待っていると後ろから声をかけられた。
『蓮、さっきは凄かったなー。西条さんチョー格好よかった!』
長めの髪を後ろで束ねたこの男は佐伯だ。
「久しぶりだな佐伯!」
話をよく聞くと、職業選択で鍛冶屋になった途端、泉に捨てられたらしい。
あいつらしいやり方だ。
「佐伯、今後どうすんだ?」
『鍛冶屋をやっていくしかないんだけど、宿屋みたいに組合がなくてさ。資金がなくて困っているんだよね。
このイベントで一攫千金狙って駄目なら、ちょっと危険だけど隣町まで行ってギルドで仕事探そうかな』
ギルドとは様々なミッションを紹介してくれる場所らしい。
「大変だな。オレ達も近いうちに隣町に行くから、その時は一緒にいこうぜ」
『そりゃ助かるよ、道中は頑張って下撲になる!』
振り返った美咲から、冷たい視線を浴びせられた佐伯は口を押さえて目を丸くした。
最初のコメントを投稿しよう!