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鷹山……蓮。
オレだな。どうみてもオレだ。
「蓮、早く出るぞ」
まさかオレが選ばれるなんて。急いで出口のドアに向かう。
「駄目、開かないわ!!」
美咲が激しくドアを押したり引いたりするがびくともしない。
『それではさっそく第一試合を開始いたします。選手は前に出て下さい。
尚、三分以内にステージに上がらない場合失格とさせて頂きます。失格となった場合、ペナルティーとして体力が0になりますのでお気をつけ下さい』
棄権も出来ないのか。
――ガタン!!
会場に何かを倒したような音が。
『嫌だ! 俺は戦えないんだ』
会場から一人の男がこちらに向かって走ってきた。
美咲を突き飛ばし出口を叩く。
『俺は……無理だ。電気屋の職業で勝てるわけがない!』
その男は必死に叫びながらドアを蹴る。
『残り30秒です』
『嫌だ! 嫌だぁぁ!』
『相馬真治様、失格です』
目の前で叫んでいた男が、半透明になっていく。どんどん色が薄くなり……消えていった。
男のいた場所にはPDAだけが残されている。
――男の怖がり方は異常だ。
悪魔のゲームだとわかっているような……
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