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『勝者、及川勝様はアイテムスロットを回して下さい』
巨大スクリーンにはアイテムスロットが表示されている。及川と呼ばれた男がPDAをスクリーンに向けると職業選択と同様に回転し始めた。
どうせ参加しなきゃならないなら……あの剣術書が欲しいな。
だんだんと回転が緩やかになっていく。
スクリーンを見つめながら"当たるな!"と何度も念じた。
『お見事です! 及川様には、レアアイテム【飛竜の弓】を進呈いたします』
いきなりレアアイテムかよ。これで確率は二分の一だ。
『それでは第二試合です。鷹山蓮様、成瀬卓也様ステージにお上がり下さい。』
「蓮、大丈夫だ。レベルだけならこの会場の中では高いはずた。使えそうなアイテムチケットを渡しておくから」
哲二からアイテムチケットを受け取る。
「アンタさっさと行きなさいよ。時間なくなるわ!」
美咲は顔を背けた。
いつもの美咲らしい"心配"の表現方法に、心が落ちつく。
急な展開で戦うことになって戸惑いもまだあるが、大丈夫、平常心で戦える。
ステージに向かってオレは歩き出した。
「れ、蓮……か、必ず……勝つのよ」
背後から、美咲の震えたような声か聞こえてきた。
振り向かず、右手を挙げてオレはそれに応える。
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