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『只今、ステージ全体を結界で覆いました。会場からのスキルやアイテム等一切無効となります』
美咲のスキルが無効になるかと思ったがHPバーが見えたままだ。結界前だったから間に合ったのか。
巨大スクリーンに目をやると、カウントダウンが開始されている。
いよいよだな。
平常心のつもりだが柄を握る手は汗で濡れていた。
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『それでは試合開始!』
刀を鞘から抜く。しょっぱなからスキル全開で行くぞ。
【命懸け】発動。
体中から、赤い湯気が立ち上り、爪先から頭、刀さえも包み込む。全身に力がみなぎり全てが軽く感じる。
相手は余裕からなのか、不適な笑みを浮かべ、グレートソードを肩に担いでいる。
オレはフェイントもなく一直線に斬りかかった。
振り下ろされるグレートソードよりも、数段速く懐に入り込み斬りつける。
――!!
なんだこの手応え。防御力の高さからなのか、鎧などない剥(む)き出しの腹部が鉄を切っているような固さ。
遅れて振り下ろされた大剣の剣圧を感じる。
更に追撃を左腿(もも)に加えるが似たような手応え。
右側から、振り下ろされたグレートソードが今度は横から薙ぎ払われてきた。
――――遅い!
軽く跳び上がりながら、回避と同時に相手の後ろ肩口に刀を突き立てた。
初撃よりは手応えを感じたが、相手のHPバーは1/10も減っていない。
一旦、バックステップをして距離をとった。
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