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――観客席
「ちょっと! アイツ、スキル【命懸け】二回目よ! 大丈夫なの?」
腕組みをしている指先が腕に食い込む程、美咲は力を入れている。
「二回目だから体力は最大時の四分の一になっているね」
「アンタ何落ち着いているのよ! アンタ達親友じゃないの?」
「うーん……
親友だから、かな?
――蓮は勝つよ。
もちろん、レベルも上げたし、戦い方も実戦的に修司と学んでいたけれど、そうじゃなくても蓮は特別なんだよ」
ステージを見つめる青い眼鏡の奥に光る瞳は揺るがない。
「――特別?」
美咲は訝(いぶか)しげに稟(りん)とした眉毛を歪(ゆが)める。
「昔から蓮はさ、本気にならなくても普通以上、いやむしろいつも上位なんだよ。
何をやってもね。
その蓮が、今回初めて本気になって打ち込んでいるから安心できる。修司も成長速度に驚いてたな」
「そう……。親友を信じているのね……」
澄んだ瞳には、羨望(せんぼう)と悲哀が入り混じっていた。
――――あのバカ、負けたら許さないんだから。
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