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宙に浮いたまま、パーカー男はじっとオレを見ている。
――なっ!?
突如、目の前にバスケットボール大の火の玉が出現し迫ってきた。
とっさに右側に飛び退き、間一髪でかわす。
敵のスキルだ。
再び火の玉が足元から出現。回避不能と判断し、左腕の楯で受け止める。
――ぐっ!
骨に響くような衝撃と熱風を、膝頭に力を入れ耐え凌(しの)ぐ。
『おらぁ! こっちにもいるんだよぉぉぉ!!』
長身の男が火の玉の死角からサーベルを振りかざし突進してきた。
――やばいっ!
キィンとした高い金属音が鳴り響く。
目の前で美咲がその斬撃をレイピアで受け止め、サーベルと鍔迫り合いをしていた。
オレは火の玉を弾き、右手の刀でスキンヘッドの腹部を突き刺した。
黒い霧に変化した腹部からは、何の手応えも感じない。
『効かねーんだよ』
悪い予測が当たっている。コイツには物理攻撃が効かない。
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