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佐伯はいきなりオレに抱き着いてきた。手つきが妙に女性っぽくて何か嫌だ。
「蓮ありがとなぁ。ホント途方に暮れてたんだよ」
佐伯は戦うことも鍛冶屋で稼ぐことも出来ないから厳しいだろうな。
今まで寝床や食事はどうしてたんだ? 最初の一万円なんかとっくに無いだろうし。
隣に哲二が腰を下ろす。
「そうでもないよ。鍛冶屋のスキル【素材鑑定】は、希少だから鑑定料貰って生活費にしていたらしいよ」
――!!
お前、何でオレの心を読めるんだ。たまにコイツが怖いわ。
「じゃあ哲二が鑑定出来なかったアイテムでも鑑定出来るかもしれないんだ?」
スキルは一体何種類あるんだろう? 親切にスキル一覧表でも用意してくれたらいいのに。
シチューを飲み干した柚葉が食器を重ね終え、チケットを取り出す。
もう全部食べたのか!?
「あ。じゃあ佐伯くん、これ鑑定できる? 名前からしたら素材といえば素材っぽいかもね」
柚葉は食事に満足したのか椅子にもたれ掛かった。黒いローブでは隠しきれない大きな胸がさらに強調されている。
チケットを受け取った佐伯は、スキルを使っての鑑定方法なのか、チケットを額に当て目を閉じる。
「えっ? 何? 何コレェー? ヤダー!! 凄いよこれ!」
ちょっ、おまっ、一瞬、お姉言葉にならなかったか佐伯!!
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