532人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
まだ霧がかった早朝。身仕度を終え出発することになった。
「いやー頭いてぇ。ガンガンするわ。飲み過ぎはよくねーな」
ワイン一杯で飲み過ぎ……。
修司は頚の後に槍を担ぎ、その槍に両腕を絡ませながら先頭を歩いている。
橋を渡り終えると10m先が見えなくなる程霧が濃くなってきた。
「失敗したかな。こんなに霧が濃いと敵が現れたらやりにくい。スキル【警戒】の範囲内には敵はいないけど念のため注意は怠らないでね」
柚葉はフワフワと浮きながら辺りを見回し、注意というよりも霧がかった景色を楽しんでいるようにみえる。
そのすぐ隣の佐伯は、昨日の醜態(しゅうたい)を引きずっているのか肩を落として朝から元気が無い。
昨晩、地図を確認したところ、橋から街まで10km程度。この調子なら一時間もかからない。
あと少しで無事街に着く。
全員がそう思った時だった。
「――待って」
哲二が全員を制止した。
最初のコメントを投稿しよう!