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――ピシッ!!
いきなり足元で鞭(むち)を鳴らしたショートカットの女は歪んだ笑顔を浮かべている。
『あはっ。君達早く死んでスキル頂戴よ。最近ハズレばっかりなのよー』
コイツらプレイヤーを狩ることに相当慣れているな。
後方の壁をチラッと確認する。
人数的にも不利な状況。スキルを使われる前に一人でも減らしたい。
分断されてから一分。
――そろそろだ。
【命懸け】発動。
赤いオーラが身体から立ち上る…
「提案がある。こっちの女が持っているレアアイテムを渡す。だから見逃してくれ」
敵の注意を引き付ける為にアイテムを引き合いに出す。
それにレアアイテム所持者を殺してしまえば、それを獲得できる確率が大幅に下がる。敵も迂闊(うかつ)には美咲に手を出さないだろう。
『おい、お前なんだその赤い湯気は!スキル使いやがったな!』
スキルの使用が敵にバレる。
――計算通り。
ゆっくりと左腕を挙げ天を指す。
『キャッ!? 何あれ?』
鞭使いの女が頭上の異変に気がついた。
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